こんにちは!あおい内科の青井です。
皆さんは、銭湯や薬局で血圧を測定したことはありませんか?
あるいは、健診で血圧が高いと言われた経験はありませんか?
今回は高血圧について腎臓専門医が解説します。
高血圧は「なにも症状がないから…」と放置していると、脳卒中や心臓病などの重大な病気につながります。
ぜひこの機会に正しい知識を身につけましょう。
高血圧とは?
そもそも血圧とは、「心臓が送り出した血液が血管の壁を押す圧力」のことです。
心臓が送り出した血液の量や、血管の弾力性や抵抗力によって変化します。
高血圧はこの「血管を押す圧力」が強すぎる状態のことで、次のように分類されます。
分類 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | |
---|---|---|---|
正常血圧 | <120 | かつ | <80 |
正常高値血圧 | 120~129 | かつ | <80 |
高値血圧 | 130~139 | かつ/または | 80~90 |
Ⅰ度高血圧 | 140~159 | かつ/または | 90~99 |
Ⅱ度高血圧 | 160~179 | かつ/または | 100~109 |
Ⅲ度高血圧 | ≧180 | かつ/または | ≧110 |
高血圧のかたは日本で4300万人いると推定されています。
その人数はおよそ日本人の3分の1にあたり、高血圧は一般的な病気だと言えるでしょう。
高血圧の原因
高血圧の90%は「本態性高血圧」と呼ばれる高血圧です。
以下の原因が組み合わさって発症します。
- 塩分の摂りすぎ
- 喫煙
- 運動不足・肥満
- 過度のストレス・睡眠不足
- 加齢・遺伝などの体質
残りの10%は「二次性高血圧」といって、他の病気によって引き起こされる高血圧です。
原発性アルドステロン症や褐色細胞腫、クッシング症候群、腎血管性高血圧、睡眠時無呼吸症候群などが原因となります。
高血圧の症状
高血圧はほとんど症状がないのが特徴です。
だからといって放置していいかというとそうではありません。
高血圧はサイレントキラーとも呼ばれ、症状が出たときにはすでに重篤な病気を発症している…そんな病気なのです。
高血圧によって引き起こされる病気とその症状の例を挙げます。
- 脳卒中(脳出血・脳梗塞) → 突然の激しい頭痛、手足の麻痺など
- 心臓病(心不全・心筋梗塞) → 動悸、息切れ、しめつけるような胸痛
- 慢性腎臓病(CKD) → むくみ、息切れ、食欲不振
(慢性腎臓病に関してはこちらの記事もご覧ください) - 大動脈瘤・大動脈解離 → 突然の激しい胸背部痛・腰痛
高血圧の治療
高血圧の治療の目標は、血圧を下げて重篤な病気を予防することです。
症状が出にくいため治療の効果を実感しにくいですが、しっかり血圧が下がって「なんで治療しているだっけ?」と思えるぐらい、支障なく日常生活を送ることができている状態が理想です。
高血圧の治療は大きく分けて生活習慣の改善と薬物治療の2つです。
生活習慣の改善
- 減塩(1日6g未満)
- 野菜をしっかり摂取する
- 適度な運動(30分の有酸素運動、週3~5回)
- 減量
- 禁煙・節酒
- 良質な睡眠・ストレス管理
降圧薬による治療
生活習慣の改善でも血圧が下がらない場合や、高血圧が重度の場合には降圧薬を使用します。
「ずっと飲み続けるの?」と気にされる方も多いですが、経過により、減量や中止を検討することも可能です。
もちろん、無理に薬を減らさず続けたほうがいいケースもありますので、患者さんの状態に合わせて相談していくことになります。
自宅で血圧を測定しましょう!
高血圧は症状がありません。つまり、血圧がどんどん上昇していても気が付きません。
逆に、降圧薬が効きすぎて血圧が下がりすぎていても気が付かないこともあります。
そこで重要なのが家庭での血圧測定です。
当院では診察時に血圧を測定していますが、診察で緊張してしまったり、病院まで歩いてきた後だったりするため、どうしても普段とは違う血圧になってしまうことがあります。
ご自身の体の状態や、治療の効果を正しく判断するために、ぜひ自宅で血圧を測定しましょう。
血圧計は薬局などで購入できます。手首ではなく腕で測定するタイプがおすすめです。
測定のポイント
- 測定は朝・夕の2回
- 朝は起床後1時間以内、排尿後、朝食前、内服前に
- 夕は寝る前
- 1~2分座って安静にした後に測定する
- 同じ時間・同じ腕で測定する
まとめ
高血圧は放置すると命に関わる病気につながる可能性がありますが、適切に対処することで予防・改善が可能な病気です。
健診で血圧が高かった方や、家族に高血圧のかたがいる方は、早めの対策が大切です。
当院では、血圧に関する検査・生活指導・薬物治療を行っていますの。
ぜひお気軽にご相談ください。