腎臓を守るための高血圧治療
はじめに
こんにちは。あおい内科の青井です。
「血圧が少し高いと言われたけれど、どこも痛くないし大丈夫だろう」
「年を取れば血圧は上がるもの。薬を飲み始めたら一生やめられないのが怖い」
当院を受診される患者さんから、よく耳にする言葉です。しかし、腎臓内科医としての私の答えは明確です。
「高血圧を放置することは、あなたの大切な内臓、特に『腎臓』という精密機械をじわじわと破壊し続ける行為に他なりません。しっかり血圧を下げてあげましょう!」
ここでは、高血圧がなぜ怖いのか、そして腎臓とどのような関係があるのかを解説します。
高血圧とは?
そもそも血圧とは「心臓が送り出した血液が血管の壁を押す圧力」のことです。
心臓が送り出す血液の量や、血管の弾力性や抵抗力によって変化し、正常値は120/80mmHg未満とされています。
「診察室で測定した血圧が140/80mmHg以上」、あるいは「家庭で測定した血圧が135/75mmHg以上」だと高血圧と診断されます。
血圧は、その数値により下の表のように分類されます。
| 分類 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | |
|---|---|---|---|
| 正常血圧 | <120 | かつ | <80 |
| 正常高値血圧 | 120~129 | かつ | <80 |
| 高値血圧 | 130~139 | かつ/または | 80~90 |
| Ⅰ度高血圧 | 140~159 | かつ/または | 90~99 |
| Ⅱ度高血圧 | 160~179 | かつ/または | 100~109 |
| Ⅲ度高血圧 | ≧180 | かつ/または | ≧110 |
高血圧の原因は?
血圧はさまざまな原因で上昇します。
- 塩分のとりすぎ
- タバコ
- 運動不足・肥満
- 加齢・遺伝などの体質
- 過度のストレス・睡眠不足
- 気温の変化(特に寒さ)
- ホルモンの異常 など
これらの原因のうち、主に塩分の摂取過剰・喫煙などの生活習慣、肥満や加齢などの体質が組み合わさって起きる高血圧を本態性高血圧と呼びます。9割のかたはこのタイプの高血圧です。
残りの1割のかたは、他の病気が隠れていて起きるタイプの高血圧で、二次性高血圧と呼びます。
原発性アルドステロン症・クッシング症候群・褐色細胞腫・腎血管性高血圧といったホルモンの異常、睡眠時無呼吸症候群、解熱鎮痛薬や漢方薬などの薬剤が原因となります。
高血圧と腎臓の関係
腎臓は「血圧の司令塔」
腎臓は単なる「おしっこを作る臓器」ではありません。体内の水分量や塩分濃度を調節し、血圧をコントロールするホルモン(レニン)を分泌する、いわば血圧のコントロールセンターです。
血圧が高いと腎臓が悪くなり、腎臓が悪くなると血圧が高くなる
実は血圧と腎臓は「鶏と卵」のような切っても切れない関係にあります。
- 高血圧が腎臓を壊す: 腎臓に圧力がかかり続けると、腎臓の細い血管が硬くなり、ろ過機能が低下します
- 腎臓が血圧を上げる: 腎臓の機能が落ちると、塩分や水分をうまく体外に排出できなくなり、さらに血圧が上昇します
このような悪循環が生まれるのです。このループを断ち切るのが私たち腎臓内科医の使命といっても過言ではありません。
そのため、当院では「ただ血圧を下げる」のではなく、「10年後、20年後の腎機能を守るための血圧管理」を目標としています。
高血圧を放置するとどうなる?
高血圧はこれといった症状がないことが多く、高血圧のなにが体によくないのかが実感しづらいです。
しかし、だからといって放置するのは危険です。
高血圧の状態が長く続くと、体中の血管に負担がかかり、見えないところで動脈硬化が進行していきます。
血管は全身どこにでもありますので、動脈硬化は、腎臓をはじめとした様々な臓器に影響を及ぼします。
| 臓器 | 引き起こされる病気 |
|---|---|
| 心臓 | 心不全、心筋梗塞、狭心症など |
| 腎臓 | 慢性腎不全(腎硬化症)など |
| 脳 | 脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、脳血管性認知症など |
| 目 | 眼底出血、網膜動脈閉塞症など |
| 血管 | 大動脈瘤、大動脈解離、閉塞性動脈硬化症など |
高血圧による慢性腎不全(腎硬化症)は年々増加しており、透析導入となる方の原因の第2位です。
また、心筋梗塞や脳出血など、いざ起きてしまうと命の危険がある病気や、後遺症が残り日常生活に支障をきたす病気も多いです。
「なにかが起きたと思ったら、すでに取り返しのつかないことになっていた」となってしまうのが高血圧の怖いところなのです。
そのため、これらの重篤な病気を起こす前に、しっかり血圧を下げてあげることが重要です。
血圧の目標値
高血圧による悪影響を防ぐためには「診察室血圧 130/80mmHg未満」「家庭血圧 125/75mmHg未満」が基本的な目標値になります。
とはいえ、なかには血圧のアップダウンが激しく、血圧が下がりすぎるとふらついて倒れてしまう、という方もいますので、患者さん毎の状態を把握したうえで、トラブルがないように治療を進めていくことになります。
普段の生活で取り組みたいこと
生活習慣の改善
- 減塩(1日6g未満)
- 野菜をしっかり摂取する
- 適度な運動(30分の有酸素運動、週3~5回)
- 減量
- 禁煙・節酒
- 良質な睡眠・ストレス管理
家庭血圧の測定
- 理想は朝・夕の2回
- 朝は起床後1時間以内、排尿後、朝食前、内服前に
- 夕は寝る前
- 1~2分座って安静にした後に測定する
- なるべく同じ時間・同じ腕で測定する
- どうしても難しければ1日1回や、測れる時だけでもOK
診療の流れ
- 問診・血圧測定
- これまでの経過を確認し、原因を推定します。
- 血圧を測定し、高血圧の程度を評価します。
- 原因の特定・合併症の評価
- 血液検査などを行い、二次性高血圧の原因となる病気がないかを調べます。
- 必要に応じて、心電図、胸部レントゲン検査、超音波検査(心臓・頸動脈・腹部)、脈波検査(ABI)を行い、心疾患や動脈硬化の程度を評価します。
- 治療
- 病状に応じて、薬物治療を提案します。
- 普段の生活で気をつけるポイント(減塩・運動・禁煙・家庭血圧測定など)をお話します。
- 定期的なフォローアップ
- 適切な血圧を維持できるよう治療を継続していきます。
このような方はご相談ください
- 健診で「高血圧」を指摘された
- 健診で「たんぱく尿」「クレアチニン高値」「腎機能障害」を指摘された
- 家で血圧を測ってみたら高くて心配
- 糖尿病や脂質異常症がある
- ご家族に高血圧の方がいる
まとめ
名古屋市中川区のあおい内科では、総合内科専門医・腎臓専門医の立場から、高血圧の診療を行っています。
血圧だけでなく、腎機能や尿検査、生活スタイルなどを総合的に評価し、皆さまが元気に日々を過ごせるようサポートします。
高血圧は「早く気づき、長く付き合う」ことが大切な病気です。
気になることがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。





