スギ花粉症に対する舌下免疫療法について
舌下免疫療法とは
スギ花粉症は、日本の全人口の4割以上が罹患しているとも言われる現代の国民病です。
従来の抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬による治療は、出ている症状を一時的に抑える「対症療法」であり、花粉シーズンが終了すれば治療も終了しますが、翌年には再び同様の症状に悩まされることになります。
これに対し、「シダキュア(スギ花粉舌下錠)」を用いた舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を計画的に体内に取り込むことで、免疫システムそのものをスギ花粉に慣らし、長期的な症状の改善を目指す「根治療法」です。
治療期間は3~5年程度と長期間になりますが、治療を継続することで症状の改善や薬の減量が期待できます。
舌下免疫療法の効果
舌下免疫療法には次のような効果が期待できます。
- アレルギー症状(くしゃみ・鼻水・鼻閉・目のかゆみ)の改善
- 生活の質(QOL)の改善
- アレルギー治療薬の減薬
治療効果が出はじめるまでは数ヶ月~1年程度かかります。
約80%の方で症状が軽減し、約20%の方では薬がいらなくなるほど症状が改善すると報告されています。
年単位で治療を継続することで最大の効果が得られると考えられていますが、3年間治療を行っても効果が出ない方も10~20%ほどいらっしゃいます。
舌下免疫療法の対象となる方
舌下免疫療法の適応
- 7歳~65歳の方
- 血液検査(特異的IgE抗体検査)等でスギ花粉症と診断されている方
- 長期間(3~5年)の治療を継続できる方
- 最低でも1か月に1回の通院ができる方
こんな方にお勧めです
その中で、以下に当てはまる方は舌下免疫療法をお勧めします。
- スギ花粉症を根本的に治したいとお考えの方
- アレルギー症状で日常生活(仕事・勉強・スポーツ等)に支障が出ている方
- 毎年の花粉症の時期が憂鬱な方
- 市販薬や処方薬で十分に効果を感じられない方
- 抗ヒスタミン薬の副作用で眠気がでてしまう方
- 翌年以降に受験などのイベントを控えており、その前に花粉症を改善させたい方
治療を受けられない方
これらに該当する方は舌下免疫療法を行うことができません。
- 過去に舌下免疫療法でアナフィラキシーショックを起こしたことがある方
- 重篤な気管支喘息の方
- 悪性腫瘍、または免疫系の疾患(自己免疫疾患、免疫不全症など)がある方
- 重症の心疾患、肺疾患、高血圧の方
- 抜歯後など、口腔内に傷や炎症がある方
- β遮断薬・三環系抗うつ薬・モノアミンオキシダーゼ阻害薬を投与中の方
- ステロイド内服中の方(点鼻・吸入ステロイドは可)
- 妊婦・授乳中の方
病状によっては行えることもありますので、詳しくは医師にご相談ください。
舌下免疫療法の副作用
主な副作用
- 口内の腫れ・かゆみ・不快感・違和感
- 唇の腫れ
- のどの刺激感・不快感・違和感
- 耳のかゆみ
局所的なアレルギーによる副作用で、それぞれ10%前後の頻度で起きます。
多くの場合は30分ほどの一時的な症状です。
投与開始後1か月ほどで起きなくなることが多いです。
重篤な副作用
- アナフィラキシー
- ショック
全身性のアレルギーによる重篤な副作用です。
頻度は0.1%未満と非常に稀ですが、もし起きてしまったときのために、初回投与は院内で行う必要があります。
治療の流れ
- 初診日
- 問診・口腔内の診察を行います。
- 血液検査でスギ等に対するアレルギー反応の有無(特異的IgE抗体)を調べます。
- 初回投与日(初診日のおよそ1週間後)
- 血液検査を結果をふまえ、舌下免疫療法が可能かを判断します。
- 体調に問題ないことを確認し、院内で初回投与を行います。
- 服用後は30分院内で待機し、重篤な副作用がないかを確認します。
- 特に問題なければ、2週間分(開始量1週間分+維持量1週間分)の舌下免疫療法薬を処方します。
- 受付から会計まで1時間~1時間半ほど時間を要しますので、午前診は11時まで、午後診は18時までに来院してください。
- 初回経過観察(初回投与日の2週間後)
- 服用状況や副作用を確認し、問題なければ薬剤を1ヶ月分処方します。
- 定期経過観察
- 以降は1か月に1回受診していただき、効果、服用状況や副作用を確認します。
- 3~5年間を目安に服用を継続します。
よくある質問
Q1:費用はどれぐらいかかりますか?
スギ花粉症に対する舌下免疫療法は保険適応です。
3割負担の方で、初診日は7500円前後、初回投与日は2000円前後、以降の定期受診は2000円前後が目安です。
いずれも診察代・血液検査代・薬剤代を含みます。
名古屋市の子ども医療証をお持ちのお子さんは無料です。
診療報酬改定や併存疾患の有無により、変動がありますのでご了承ください。
Q2:血液検査は必ず受けなければいけませんか?
舌下免疫療法を開始するにあたり、血液検査は必須です。
1年以内にアレルギー検査を受けている場合、血液検査の一部を省略できることもありますので、初診時に検査結果をお持ちください。
Q3:治療はいつでも始められますか?
スギ花粉が飛散していない時期に治療を開始する必要があります。
6月~11月中を目安に開始すると良いでしょう。
Q4:効果はいつまで続きますか?
3年間の内服で治療終了後6年間(計9年)、5年間の内服で治療終了後7年間(計12年)は効果が持続すると報告されています。
治療終了後に花粉症の症状が再燃してしまった場合は、舌下免疫療法を再開することで、初回治療時よりも早く症状が改善するとされています。
Q5:薬を飲み忘れてしまいました。どうすればよいですか?
忘れたその日に気がついた場合は、その日の用量を服用しましょう。
翌日に気がついた場合は、前日の用量を服用しましょう。(2日分をまとめて服用しないでください)
服用の有無が不確かな場合は、その日は服用しないようにしましょう。
もし、2週間以上服用を忘れてしまった場合は、一度受診してください。
おわりに
アレルゲン免疫療法は、体をアレルゲンに慣らして、症状を和らげたり、根本的な体質改善が期待できる治療法です。
スギ花粉症の症状にお悩みの方はぜひご検討ください。





