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肺炎球菌の予防接種について

肺炎球菌とは?

肺炎球菌とは、その名の通り肺炎を引き起こす細菌です。
人の鼻や喉に存在する常在菌の1種であり、乳幼児の30~50%、成人の3~5%が肺炎球菌を保菌しているといわれています。
健康な状態であれば特別悪さはしませんが、免疫力が弱り、体内で肺炎球菌が増殖すると、肺炎を引き起こすことがあります。
また、侵襲性肺炎球菌感染症といって、菌が血液中や髄液中にも侵入することがあり、ときには命に関わります。

成人の市中肺炎(普段の生活の中でかかる肺炎)を引き起こす原因の第1位が肺炎球菌です。
なかでも、65歳以上の方、糖尿病の方、慢性の心臓・肝臓・腎臓・肺疾患がある方、がんの方は肺炎球菌に感染するリスクが高いことが報告されており、ワクチンで感染を予防することが非常に重要です。

肺炎球菌ワクチンについて

現在、日本では成人用肺炎球菌ワクチンとして、

  • ニューモバックス(PPSV23)
  • プレベナー20(PCV20)
  • キャップバックス(PCV21)

の3種類が主に使用されています。

いずれも肺炎球菌による感染症を予防するワクチンですが、カバーしている肺炎球菌の血清型や特徴が異なります。
以前は名古屋市の高齢者肺炎球菌予防接種ではニューモバックスが使用されていましたが、2026年4月からプレベナー20に変更となりました。

ニューモバックス・プレベナー20・キャップバックスの違い

ニューモバックスプレベナー20キャップバックス
種類多糖体ワクチン結合型ワクチン結合型ワクチン
接種回数1回1回1回
再接種5年おき不要不要
注射方法皮下・筋肉注射筋肉注射筋肉注射
血清型23種20種21種
カバー率53%52%78%
費用5,600円15,000円
※カバー率は2023~2025年のデータになります。(小児・成人の侵襲性肺炎球菌感染症の疫学情報)
※自費接種の場合、プレベナー20の費用は12,000円となります。

ニューモバックス

肺炎球菌の表面に存在する莢膜多糖体をターゲットとしたワクチンです。
カバーしている血清型は、10A, 11A/E, 15B, 12F, 20, 8, 9N, 17F, 3, 19A, 22F, 33F, 7F, 4, 14, 1, 5, 23F, 6B, 9V, 18C, 2, 19Fの計23種類です。
5年程度で抗体価が低下してくるため、これまでは接種後5年を目安に再接種をしていました。
2026年3月まで成人の高齢者肺炎球菌予防接種に用いられていました。

プレベナー20

プレベナー20は莢膜多糖体抗原にキャリアたん白を結合させたワクチンです。
カバーしている血清型は、10A, 11A/E, 15B, 12F, 8, 3, 19A, 22F, 33F, 7F, 6A, 4, 14, 1, 5, 23F, 6B, 9V, 18C, 19Fの計20種類です。(ニューモバックスと近いカバー範囲です)
効果の持続期間が長いことが特徴で、1回接種を行ったら追加接種は原則不要とされています。
2026年4月から成人の高齢者肺炎球菌予防接種に用いられるようになりました。

キャップバックス

2025年10月に発売された新しい肺炎球菌ワクチンです。
こちらもプレベナー20と同じ結合型ワクチンであり、15年程度は効果が持続すると報告されています。
新しいワクチンなのでそれ以降のデータはまだありませんが、原則として追加接種は不要とされています。

他のワクチンとの最も大きな違いは、カバーしている血清型です。
23A, 35B, 15A, 24F, 31, 15C, 23B, 16F, 10A, 11A/E, 15B, 12F, 20, 8, 9N, 17F, 3, 19A, 22F, 33F, 7Fの計21種をカバーしています。
血清型の数だけで見るとその他の2つのワクチンとあまり変わりませんが、近年の数を増やしてきている血清型(太字の血清型)をカバーすることで、より高い感染予防効果(8割前後)があります。

名古屋市の助成制度の対象ではないため、自費での接種となります。

名古屋市の助成制度

2026年4月現在、プレベナー20のみが名古屋市の助成制度の対象です。
下記の3項目を満たす方は、名古屋市の助成制度の対象となります。

  1. 名古屋市に住民登録がある方
  2. 接種日において以下に該当する方
    • 満65歳以上の方
    • 満60歳から64歳の方で身体障害者1級相当の基礎疾患を有する方
  3. 公費・自費を問わず、過去にニューモバックスやプレベナー20を接種したことがない方

当院での予防接種

2026年4月から名古屋市の定期接種がニューモバックスからプレベナー20へ変更されたことに伴い、現在当院では、プレベナー20とキャップバックの2種類のみを取り扱っています。

費用はそれぞれ、

  • プレベナー20(助成あり):5,600円
  • プレベナー20(自費):12,000円
  • キャップバックス(自費):15,000円

となります。

過去にニューモバックスを接種された方へ

「以前ニューモバックスを接種したけれど、また受けた方がいいですか?」というご相談をよくいただきます。
プレベナー20やキャップバックスなどの結合型ワクチンは、ニューモバックスとは異なる仕組みで免疫をつくるため、追加接種によってより長期に、より幅広い予防効果が期待できるケースがあります。

ただし、

  • 年齢
  • 前回接種したワクチンの種類
  • 接種からの経過年数
  • 基礎疾患の有無

などによって推奨される接種方法が異なります。
当院では接種歴を確認したうえで、ご本人に適したワクチンを提案いたします。

このような方にお勧めです

  • 65歳以上の方
  • 糖尿病や高血圧などの生活習慣病がある方
  • COPDや喘息など肺の病気がある方
  • 慢性腎臓病(CKD)や心臓病がある方
  • 喫煙されている方
  • 肺炎を予防したい方

よくある質問

Q1:キャップバックスとプレベナー20はどちらがおすすめですか?

どちらも優れたワクチンですので、どちらを接種しても間違いではありません。
肺炎のリスクをできるだけ下げたい方はキャップバックス、費用を抑えたい方はプレベナー20を選択するのがよいでしょう。
詳しくは診察時にご相談ください。

Q2:インフルエンザワクチンと同時に接種できますか?

はい。同日に接種することができます。

Q3:副反応はありますか?

接種部位の痛みや腫れ、赤みが最も多くみられます。
発熱やだるさが出ることもありますが、多くは数日以内に改善します。

Q4:過去にニューモバックスを打ちました。キャップバックスを接種できますか?

ニューモバックスの接種後、1年が経過していれば接種が可能です。
キャップバックスを接種することで5年毎にニューモバックスを接種する必要がなくなります。

Q5:過去にプレベナー20を打ちました。キャップバックスを接種できますか?

プレベナー20の接種後、1年が経過していれば接種が可能です。
より広い血清型をカバーしたい方はご相談ください。

まとめ

肺炎球菌は、年齢とともに発症しやすくなる病気です。
重症化して命に関わることも多く、ぜひワクチンを接種して病気を予防しましょう。
予約制となりますので、ご希望の方はお電話(052-364-2500)で予約をお願いします。