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慢性腎臓病(CKD)について

腎臓の働き

腎臓は体の腰のあたりに左右1つずつある、にぎりこぶしほどの大きさの臓器です。地味な印象を持たれがちですが、実は24時間365日働いている「精密なろ過装置」であり、私たちが生きていくうえで必要不可欠な役割を担っています。

  1. 老廃物の排泄:血液のクリーニング
    • 腎臓の中には「糸球体」という毛細血管の塊があります。糸球体では、1日におよそ200Lもの血液をろ過し、尿を作っています。体内で作られる尿素窒素やクレアチニンといった不要な老廃物を、尿として体外に排泄しています。
  2. 水分・ミネラル・血圧の調整:体内の「恒常性」を維持
    • 腎臓の中には「尿細管」や「集合管」という尿の通り道があります。尿細管や集合管では、ナトリウム(塩分)やカリウム、カルシウムなどのミネラル、水分のバランスを整えています。また、「傍糸球体装置」という部位では、腎臓に流れてくる血液量に応じてレニンというホルモンを分泌し、血圧のコントロールも行っています。
  3. 血液を作る司令塔:エリスロポエチンの分泌
    • 腎臓は「エリスロポエチン」という造血ホルモンを分泌することで、骨髄に赤血球を作るよう命令を出しています。腎機能が低下するとこのホルモンが不足し、鉄分を摂っても改善しない「腎性貧血」を引き起こします。
  4. 骨を強くする:ビタミンDの活性化
    • 食べ物から摂ったビタミンDは、腎臓で「活性型ビタミンD」に変化することで初めて、カルシウムの吸収を助け、骨の形成を促進します。腎臓の健康は、骨の強さに直結しているのです。

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)とは

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)は、何らかの理由で腎臓の働きが低下したり、尿にたんぱくが漏れ出している状態が続く病気です。

CKDの診断基準

具体的には、下記の①・②のいずれか、あるいは両方が3ヶ月以上続いている場合にCKDと診断します。

腎障害の存在:尿検査で尿蛋白が出ている、画像検査で腎臓の形態に異常がある、など
腎機能の低下:糸球体濾過量(GFR)が 60 mL/min/1.73㎡ 未満

なぜ「3ヶ月」なのか?

腎臓の働きは脱水などで一時的に悪くなることがよくあります。しかし、3ヶ月以上改善しない場合には、腎臓の構造自体にダメージが蓄積しており、何らかの腎臓病がある可能性が高いためです。

日本の現状:成人の5人に1人がCKD

2024年の推計では、日本にはおよそ2000万人のCKD患者がいるとされています。成人の5人に1人がCKDという計算になります。まさに「新たな国民病」といえる数であり、決して他人事ではありません。

CKDの主な原因

かつては腎臓病といえば慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)が主因でしたが、現在は糖尿病や高血圧による腎臓病が大きな割合を占めています。

  • 糖尿病(糖尿病性腎症)
    血糖値が高い状態が続くことで、腎臓の血管や糸球体がダメージを受けます。透析導入となる原因の第1位です。
  • 高血圧(腎硬化症)
    血圧が高い状態が続くことで、糸球体が徐々に硬化していきます。年々増加しており、透析導入となる原因の第2位です。
  • 慢性糸球体腎炎(IgA腎症)
    糸球体に免疫グロブリン(IgA)が沈着する病気です。蛋白尿や血尿が続き、糸球体が硬化していきます。早期発見や治療の進歩により減少していますが、透析導入となる原因の第3位です。

その他、多発性嚢胞腎などの遺伝性疾患、顕微鏡的多発血管炎などの膠原病、加齢や肥満なども原因となります。

CKDの症状・合併症

腎臓は非常に我慢強い臓器です。初期には自覚症状が出ることはほとんどありません。
病気が進行して初めて、足のむくみ、息切れ、倦怠感、食欲不振などの症状が出現します。
CKDの合併症には貧血やアシドーシス、ミネラルバランスの異常などの合併症がありますが、これらも症状はでにくいです。

  • 初期~中期
    ほとんど無症状です。
    蛋白尿が多く出ている人では「尿の泡立ち」がみられることがあります。
  • 進行期~末期
    足のむくみ(浮腫):排泄しきれない塩分や水分が体に溜まるとむくみが出現します。
    息切れ・疲れやすさ:貧血が進行したり、体液が過剰になると出現します。
    食欲不振・吐き気・かゆみ(尿毒症):老廃物が体内に蓄積することで出現します。

「症状が出てから受診する」のでは、すでに手遅れに近いケースも少なくありません。
健診での指摘がいかに重要か、ここからお分かりいただけるはずです。

CKDの重症度

CKDは腎機能(≒糸球体濾過量)、尿蛋白の程度、原因となっている疾患によって重症度が決まります。
糸球体濾過量(GFR)が下がるほど、尿蛋白が多いほど、重症となります。
CKDが進行し、むくみや息切れなどの症状が強くなると、血液透析などの治療が必要となります。(目安としてはGFR < 10 mL/min/1.73㎡)

原疾患蛋白尿区分A1A2A3
糖尿病関連腎臓病尿アルブミン (mg/gCr)<3030~29930≦
その他の腎臓病尿蛋白/Cr比 (g/gCr)<0.150.15~0.490.50≦
GFR区分
(mL/min/1.73㎡)
G1≧90
G260~89
G3a45~59
G3b30~44
G415~29
G5<15

なぜ尿蛋白が重要か?

同じGFR値であっても、尿蛋白が多いほど、将来的に透析が必要になるリスクや、心筋梗塞・脳卒中などの心血管疾患を起こすリスクが劇的に高まります。そのため、当院ではGFRだけでなく、尿蛋白の量にも細心の注意を払って診療を行います。

診療の流れ

  1. 問診・検査
    • これまでの経過を確認し、原因を推定します。
    • 合併症の有無を調べます。
  2. 治療
    • 慢性腎臓病の進行を抑制するための薬物治療を行います。
    • 合併症がある場合にはその治療も行います。
    • 減塩・運動・禁煙など、普段の生活で気をつけることについてお話します。
  3. 定期的なフォローアップ
    • 腎臓病や合併症の進行をチェックします。
    • 透析などの腎代替療法が必要となった場合には、適切なタイミングで総合病院を紹介いたします。

このような方はご相談ください

  • 健診で「腎機能障害」「クレアチニン高値」を指摘された
  • 健診で「たんぱく尿」を指摘された
  • 長年、高血圧や糖尿病の治療を受けている
  • ご家族に透析を受けている方がいる
  • 足のむくみが気になる

まとめ

腎臓の働きは一度悪化してしまうと元に戻らないことも多く、早期から腎臓専門医の診察を受けることが望ましいです。
名古屋市中川区のあおい内科では、慢性腎臓病について、腎臓専門医が的確に対応いたします。
どうぞお気軽にご相談ください。